前田信子[歌人] ※ページ内のすべての画像はクリックすると見やすくなります。 前田信子の関連作品 「この国は代える節目に至れども 代わる代わらない代われば代われ」 「髪の毛の薄くなりゆくからみゆく 人間模様を見ているように」 「風呂敷に古道具和服包み込み 母はかぼちゃを持ち帰りたり」 「ほっこりと白き蟹の身取り出だす 吾が特技なり城崎は雪」 「国東の響きいとしも亡き吾子と 訪いしは終いの旅にしあれば」 「象に乗り駱駝に乗りしフォートあり この勇気だけわたくしのもの」 「サーティワン・シラブルズ・ポエムと吾の告ぐ 友さやさやと柳指差す」 「寂しいという友ありて吾もまた 寂しいけれど慰めに行く」 「老い支度 三度訪ねし城崎は お湯はんなりと柳さやさや」 「手を打ちて演歌を唄う夫なり 讃美歌唄いし日々忘れしか」 「口数の少なき夫は冗舌に ヘルパーさんをあだ名で呼びぬ」 「ガレージのシャッター上げれば走り出る 赤き車は吾子への思い」 「声にしてテレビ画面の文字を読む 楽し気な夫に声を合わせぬ」 「子や孫の自慢話は風の語と 頷くのみのまいまいかぶり」 「夫殿をかまい過ぎたるこの様に お先に失礼すると決めたり」 「もうええねん励まされても励まれへん やる気出るまで放っといてえな」 「気に入らぬ夫の仕草も言の葉も 亡き子老いしと思えばいとし」 「親孝行兄弟姉妹を大切に 守り通してくれし姉逝く」 「慰めは童帰りの夫の笑顔 オシメはなんでせなあかんのや」 「華麗なる大円舞曲を弾き終えて吾は夕餉の小松菜を煮る」 「『一日位眠らずお絵かきしたいよ』と言いしを叶えてやれず逝きし子」 「ロシア民謡弾ける訳でもないけれどウクライナに購いしバラライカあり」 「明日の分買って欲しいと言いし子の遺品の中のグリコのおまけ」 「冬の陽の差し込むベッドに大の字の夫は干物になるかも知れぬ」 「インバネス羽織し父は空を飛び高層階の我が家を覗く」 「マスクせし人モグモグと話すから吾もモグモグ答えておいた」 「真っ直ぐに縫われし母の手の跡を確かめながら虫干しをする」 「命日にたこ焼きまあるく焼き上げるピンポンみたいと云いにし吾子に」 「不器用に生きる我なりさりながら外つくにびとの星降る便り」 「どんくさいしんきくさいといわんとき年寄りなんかなりとうないわ」 「柴刈りに山には行かぬ爺が居り吾も川へは洗濯に行かず」 「もし桃が流れてきても拾うまいもはや子育て無理かも知れず」 「逆縁の未練断ち切る術知らぬ吾は地に立つ子は天に待つ」 「たたかいに挑んでいたのはわたしだと或る日気付きし青い棘だよ」 「たまゆらのえにしにあれど城崎は短歌詠む友に柳に逢える」 facebookでシェア Twitterでシェア LINEでシェア