前野美枝子[俳人] ※ページ内のすべての画像はクリックすると見やすくなります。 前野美枝子の関連作品 「蛍光灯替へて厨の年つまる」 「雪踏みてアイヌの砦跡を訪ふ」 「殉教の一碑に白き返り花」 「門あけておく亥の子獅子待つために」 「展望車日向ぽこりの心地かな」 「太陽の塔めじるしに紅葉狩」 「大三輪の月を仰ぎて言ふことなし」 「カーテンの二重なりける白夜かな」 「雨風の岩に震へる岩煙草」 「浮巣よく見ゆる座席をゆづらるる」 「万緑の一処けむらす護摩供養」 「上州路右に左に桑を解く」 「極楽はいかなるところ蓮を見る」 「西院も又東院も緑立つ」 「湯地獄の窪み窪みに残る雪」 「引く時期の迫れる鶴に鰯撒く」 「源流は月山ならむ雪濁り」 「フラミンゴ映して紅の水温む」 「初茶の湯金明竹を眺めとす」 「林業の一村つつみ山眠る」 「高野槇青々として雪の墓」 「聖護院蕪積まれて出荷待つ」 「真黒な藁草履あり炭を焼く」 「煤逃げの人来てともに煤逃げず」 「詣でたる青畝の墓に日向ぼこ」 「ブータンは橋の下にも鮭群るる」 「エゾ鹿の鉄路過ぐるや釧路線」 「登高す三山すべて見ゆるまで」 「寝袋の吾に満天星月夜」 「会釈する親しさとなる滝の道」 「梅雨明けや釣宿魚拓貼り並べ」 「源流のまだ先の先岩魚棲む」 「捨て窯にからめる蔦の若葉かな」 「襖絵は群青の空鑑真忌」 「畦道をならす人ゐて青田風」 「どの駅も下車してみたく花の旅」 「静かなる陸軍基地に孕み猫」 「古時計鳴り出す市の日永かな」 「宇治川の逆巻く波に燕来る」 「凍る川渡ればそこは番外地」 「ふつふつと発酵さなか寒造」 「客を待つごとく鮟鱇吊るさるる」 「秋高し蹄鉄手入れおこたらず」 「石畳凸凹わかる良夜かな」 「囚人の墓より墓へバッタ飛ぶ」 「避暑散歩道草の馬叱らるる」 「七ツ島五ツは見ゆる霞かな」 「濃く淡く遠見の丘の梅林」 「太棹と掛け合ふ鼓初芝居」 「文楽座出て法善寺日脚伸ぶ」 「海向けて布団を干せり一の谷」 「貼り替へし障子明りの仏間かな」 「井戸ポンプ一つ残して牧閉ざす」 「取れ立ての畑の幸もて虫供養」 「雑魚寝して水鶏月夜となりにけり」 「太鼓橋渡りて茅の輪くぐりけり」 「雨樋のあふるるままに濃紫陽花」 「田植歌そろひて神事日和かな」 「原爆のドームの内にたんぽぽ黄」 「天狗杉仰ぎ火祭り待ちにけり」 「芦刈つて水郷の空広きかな」 「落柿舎の縁に二つの円座かな」 「裏返る裏がへらざる朴落葉」 「霧晴れて深山薊の濃かりけり」 「橋の上橋の下ゆく蛍かな」 「おが屑に伊勢海老見えずひげ動く」 「岩魚焼く炉辺より穂高目の当たり」 「神殿へ進む花嫁緑さす」 「青き踏み火伏地蔵に出逢ひけり」 「冬日射す彩窓に読む聖書かな」 「ゴンドラを二つ乗り継ぎ秋高し」 「海の日や乗つたとたんに着く渡し」 「潜水着干すかたわらに海胆を割く」 「灯りたる蛍袋に山雨来る」 「薔薇の窓あけシャンソンの聞こえくる」 「シャンデリアグラスに映ゆる春の宵」 「春光の笹に始まる峠口」 「カクテルはみな花の色春灯下」 「春待つや叡山スミレ見てみたく」 「踏み場なき程とれたての昆布干す」 「身をかくすよき岩ありて山女釣る」 「川涸れて堰の高さのありありと」 「池うらら釣果あつてもなくつても」 「春惜しむ近江の投網見てあかず」 「登高や海上都市を一望す」 「カウベルの音の近づく霧深し」 「デッキ涼しフィヨルドの景描く人に」 「登山靴わが分身のごと手入れ」 「カーテンの無き山荘に星飛べり」 facebookでシェア Twitterでシェア LINEでシェア