岡田久慧[俳人] ※ページ内のすべての画像はクリックすると見やすくなります。 岡田久慧の関連作品 「万緑の一景鹿の腑分けかな」 「喉歌に和すは狼夏の月」 「黒豹の豹柄かすかに浮く安居」 「賑やかに我が死を囃せ凌霄花」 「死神も老いては死ぬべし凌霄花」 「沖縄忌人骨まじる星の砂」 「亡き母に届けものあり辻が花」 「つばな流し女の喧嘩はなやかに」 「女に喧嘩売られて蛇を見せにけり」 「土器に付く煤の濃淡星月夜」 「百日紅五十日目に母死なす」 「葉鶏頭発狂寸前かもしれず」 「ばて気味の犬が穴掘る晩夏かな」 「罌粟の花舌かろやかに悪女たり」 「太宰忌やK点越えの我が人生」 「蔦若葉八十路はまさに恋ざかり」 「青年に微糖の珈琲夜の風炎」 「立ち尽くす青鷺一羽真菰の芽」 「めわらべのオーイと呼び合ふ山櫻」 「吸殻はくの字に雁の別れかな」 「狐の牡丹やがて姥捨山に入る」 「手取りたる春の土竜のまなこかな」 「春怨の裸体の自画像青い薔薇」 「安吾の忌ひとさし指は銃を引く」 「鉛筆の駆けつこ始まる大試験」 「春一番赤子は息を止めて泣く」 「麦踏の背中に狐乗りたがる」 「どの針でまなこ突きしや針供養」 「犬鷲に見られし手持無沙汰かな」 「山桃酒飲みたき貌やかまど猫」 「水底の未知の暗さや浮寝鳥」 「曲り屋のまがる暗さや鳥渡る」 「綿虫やときをり見ゆる死との距離」 「点と線てんとせんかな吾亦紅」 「ほどほどに臍曲がりなる糸瓜かな」 「椿の実この地つづきに妹の家」 「わが句からはみ出て蚯蚓鳴きにけり」 「子を抱いて乳房落ち着く夜の秋」 「露伴忌の私小説めくひきがへる」 「ベビーバスのアトムと泳ぐ目高かな」 「狼の匂ひを曳きて大蛍」 「胡桃の花仰ぐをさなき喉仏」 「放し飼ふ豚の飽食リラ咲けり」 「黒猫のようず光りの頭痛の眼」 「父在りし日に似て点す春の燭」 「野蒜剥くつるりと近き空があり」 「飼ひ慣らす鳥葬の鳥春の雲」 「赤紙の昔ありけり四方拝」 「坊さまのふはりと当てて投扇興」 「鏡餅飾れば甲冑動き出す」 「謎多きをとこの遺品インバネス」 「掌中の磨きぬかれて鬼胡桃」 「煤逃げの暗室といふ隠れ部屋」 「天に水溢れて仕掛花火かな」 「稜線に積む石探す晩夏かな」 「山椒魚超然として死を知らず」 「万緑にめでたき葬の銭まかれ」 「猫の仔の十指に力若楓」 「でで虫を踏みし微かなわだかまり」 「蟇孤独に慣れし歩みかな」 「声とどく距離に師のをり菖蒲の芽」 「魂のアンネてふ薔薇黄なりけり」 「日溜りにゐて冷えびえと猫の鼻」 「紅椿己れの紅に傷ついて」 「春の雲釣人に聞く魚の名」 「孕猫の腹の子手足突つぱつて」 「笑ひ上戸の少女が飛んで春一番」 「馬小屋の馬落ち着かず雪をんな」 「人殺す夢に驚く炬燵かな」 「バカ殿にはや三杯目ふぐと汁」 「仰ぐとは偲ぶことなり雁供養」 「水戸つぽが食ぶや血の濃くなるトマト」 「掌に掬ふ水に山あり源五郎」 「アイマスク取れば鳥の目森林浴」 「薔薇の香の致死量となる眠りかな」 「情絶てば淋しき色や浜豌豆」 「手品師の少年首夏の指鳴らす」 「犬もまた遠まなざしや蜃気楼」 「逝く犬の最後のお手や夏初月」 「葉桜の風の街なり骨納め」 「風葬の崖底知れぬ朧かな」 「黄泉へゆく列に蹤きけり春の夢」 「仕付け糸をとこに引かすさくらかな」 「絨毯織りのうなじ幼き弥生尽」 「絵本から魚飛び出すみすゞの忌」 「古雛に大いなる鬱ありにけり」 「風神の袋からつぽ初御空」 「庭の樹の順に伐られてゆく秋思」 「美しき歯の噛む林檎ひびきけり」 「いもうとに習ふ口笛十三夜」 「十日菊挿して納戸のおしら様」 「活け花に十日の菊を足しにけり」 「命の炎継ぎ足しをれば秋の蝶」 「馬の屁の響く馬房や星月夜」 「魔女の学校まづは鴉の子の餌づけ」 「少年の涙や罌粟の実引きちぎる」 「死は不意に罌粟の実に書く少女の名」 「メドウサの髪へ一本づつの薔薇」 「鷹鳩と化し纏足に飼はれけり」 「常臥しの寝巻の正座賑給受く」 「蕗刈るやヒマラヤ杉の木漏日に」 「ダンサーの少年立夏の銜へ面」 「あの世でも添ふかと問はれ昼寝覚」 「一身上の都合か夫の死棕櫚の花」 「鬼さんの隠れ場所なき花田かな」 「幣辛夷ちつてこころの血の糧に」 「種馬の大いなる尿春一番」 「大学に馬の嘶き初筑波」 「飛ぶといふ一字大きく吉書かな」 「指で溶く顔料初日を混ぜ合はす」 「狛犬の口に溜まりし寒の雨」 「夫に内緒の真珠に黒い手袋す」 「かいつぶり潜りて迷ひ絶ちにけり」 「せがまれて冬めく魔女の爪の垢」 「馬車になる南瓜の種を貰ひけり」 「髪上げてかろきうなじや吾亦紅」 「我が膝に乗せてわが猫夜の秋」 「蓼食ふ虫に媚薬一滴落としたる」 「ヨハネの首と思ふ紫陽花切りにけり」 「若夏や紅型にゐる青い鳥」 「萩焼の糸尻高き新茶かな」 「指詰めしをとこに飼はれ浮かれ猫」 「田舎では河童が出ます水遊び」 「メーデーを妊る犬と遊びをり」 「アジトめく地下の雀荘安吾の忌」 「春昼や座敷わらしの大欠伸」 「はらからの宇宙遊泳春の夢」 「初夢の海に濤音なかりけり」 「細き目のをとこに甘えかまど猫」 「冬の鵙父の眼ときに馬賊の眼」 「ややずれて畳めぬ翅や枯蟷螂」 「十月や海の中より観覧車」 「たたら踏む絵馬のにはとり暮の秋」 「折鶴の羽音確かに星祭る」 「求愛の孔雀絢爛たる盛夏」 「焼けのこる子宮よ脳よ沖縄忌」 「でで虫の角に長短ありにけり」 「あめんぼが押さへて水を硬くする」 「枝折戸に「子犬あげます」柿若葉」 「負け馬の土掻く茅花流しかな」 「苺ミルクいろの氷室の桜かな」 「案の定孕猫なる重さかな」 「丑三つの闇が降らせる名残雪」 「春来ると麒麟は首を打ち合へり」 「白魚に黒子二つと言ふ児かな」 「まんさくや奥に二の蔵三の井戸」 「サーカスの象が逆立ちして立春」 「看護師が洗ふわが陰冷やかに」 「擦れ違ふ戦車と驢馬や氷橋」 「ゲゲゲ忌の天井裏の猫鼠」 「子を抱いて乳房落ち着く夜の秋」 「俳諧は釣瓶落しのやうな穴」 「悪女願望ふくらむほたるぶくろかな」 「みみず鳴く鳥獣戯画の地中より」 「仕付け糸をとこに引かすさくらかな」 「黄泉へゆく列に蹤きけり春の夢」 「風葬の崖底知れぬ朧かな」 facebookでシェア Twitterでシェア LINEでシェア