柴田悦子[俳人]
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「
冬の薔薇
」
柴田悦子の関連作品
「
釣瓶落とし白神に生れまろび立つ
」
「
銀杏の豆つぶ程や保育園
」
「
申し立てされて不問の老桜
」
「
ひとり澄み世に逆らわず竜の玉
」
「
山神を祀るも一人冬深し
」
「
廃校の窓ガラス燃ゆ夕焼け雲
」
「
袈裟がけの樹光のかげり片栗の花
」
「
小鳥来る観音様の指の先
」
「
日の本に銃などいらぬ初日の出
」
「
春休み里には夢の繭明り
」
「
白神を梃とし海へ鳥帰る
」
「
広島忌水に躓くことのあり
」
「
看取るとは尽し切ること野の辛夷
」
「
一人居のさかまく過去を凌霄花
」
「
山晴れて南瓜腹出す兜太の碑
」
「
根開きのまず水色に始まれり
」
「
梅開く鍬を離さぬ母だった
」
「
紫苑咲く母のおじ儀のそこここに
」
「
葱坊主生家出て行く顔ばかり
」
「
白神は父祖のまほろば炭の道
」
「
今ここに生きる幸せ雪の綺羅
」
「
蜩や戦なきこと伝へねば
」
「
風花やときどき亡夫の木に隣る
」
「
子燕の流線型とはまだ言へず
」
「
みつめられ小石となりし磯の蟹
」
「
初蝶はまづ遠き木に鳴いてみる
」
「
馬の背に父といつでも五月晴
」
「
春雨に濡れよう言葉生ふるまで
」
「
午後よりの光集めて猫柳
」
「
かまくらや亡き父母がゐて亡夫がゐて
」
「
細雪みんなしずかに白くなる
」
「
星となる遠くの燈瞬いて
」
「
白神山雲引き連れて秋に入る
」
「
人の世は知らぬ存ぜぬかなかな
」
「
蝶の目のきびしく海へ出るつもり
」
「
はぐくむと言ふは愛ほし木の芽時
」
「
言だまは海から湧いて波の花
」
「
最後までさがせぬ遺骨桜咲く
」
「
初つばめ僕も出来るよ宙返り
」
「
消え際の命かがやく遠雪峰
」
「
菜の花が一面どこにも影がない
」
「
息つぎといふ休息やもがり笛
」
「
大根を洗ふ一人と半人分
」
「
弔ひは薄墨いろに冬に入る
」
「
ぽおとした言葉が最期地虫なく
」
「
姥石のかたちとうから終戦忌
」
「
郭公や父母を呼ぶ字あまりに
」
「
投票し畑へ戻る蟻の列
」
「
瑠璃鳥は白神山地の句読点
」
「
花火果つ帰路はあの世に迷ひ込む
」
「
梅の花仰げば昼の月匂ふ
」
「
白鳥を片寄せ切に生きたくて
」
「
ダイヤモンドダストここは銀河の最寄駅
」
「
人間の幅にて揺れて紫苑咲く
」
「
秋天やピコピコピコっとボタン嵌める
」
「
野菊咲く小さい空がいいといふ
」
「
開拓のむらは真すぐな花野道
」
「
英霊と精霊やどる青葉騒
」
「
かまくらのうちなる宇宙うす明かり
」
「
青田風みどりの絵の具使い切る
」
「
大空がきれいでよかった鯉のぼり
」
「
夢一つ放ちてひつじ雲の春
」
「
薄氷の久遠の光り学童に
」
「
緑とは生きる力の七種粥
」
「
野良猫に見向きもされず猫じゃらし
」
「
たましいは背山へ帰る蛍道
」
「
ほうたるやふる里の山越えやすく
」
「
どん尻の子についてくる蕗のとう
」
「
風花や別れの窓に手の泳ぐ
」
「
山の子にほっこりこっくりすみれ草
」
「
晩鐘の響きて梅のほころびぬ
」
「
山桜年毎殖えてあの世まで
」
「
野良猫の全身で春嗅いでいる
」
「
一夜にてふる里創成春の雪
」
「
真白になるために行く冬の山
」
「
初なすびキュアと声あげ売られゆく
」
「
石あればそこに佛が蕎麦の花
」
「
ブナ植えて語尾に張りあるにぎり飯
」
「
貧しさに耐え背の山と冴え返る
」
「
慈しむ言葉畑より鳥帰る
」
「
田が作れず母と林檎の木が残る
」
「
屋根塗りて原爆の日を過ごしけり
」
「
鬼ヤンマ宿題出来ぬ子を訪ね
」
「
もろこしに自由な音符ハーモニカ
」
「
より白く咲く源流へ水芭蕉
」
「
鍬正し黙祷をする葱坊主
」
「
亡き父の文は一通植田の箋
」
「
正しいことは正しいといふほおずき
」
「
つんつんと甘えて居りぬ土筆ん坊
」
「
悲しみが深くて笑ふ蕗のとう
」
「
有難うを素直に言って冬の薔薇
」
「
反戦を言い続けます芒原
」
「
バナナむいて敗戦記念日ほろ苦し
」
「
運命といい天命という草の花
」
「
波の花ショパンの曲に言霊が
」
「
いのちとは光と思ふ堅香子の花
」
「
滝一気地球に水の豊かなり
」
「
平和へとの父の遺志継ぐ水芭蕉
」
「
タンポポやこんなに輝く光りもち
」
「
ころころと笑ふ子春の山うごく
」