田原ハギ子[歌人] ※ページ内のすべての画像はクリックすると見やすくなります。 田原ハギ子の関連作品 「人は皆重き荷物を背負いつつ とぼとぼ歩く旅人なるや」 「のどかなる春の川辺に水鳥が 雛と遊びて何を語るや」 「吾が心善と悪との戦いに 悪の勝利の日の多かりしこと」 「久方に故郷に向かう吾が愛車 夜明けの空の高速道路」 「バス待てば迷い猫かな足元に 未練残してバスに揺らるる」 「松の葉の枯れて落つとも友連れて 吾は一人の旅路行くなり」 「ふと目覚め嬰児の息確かめて 窓に射しこむ夜半の月かな」 「幼き日母と別れの銅鑼の音も 悲しかろうと泣く浜千鳥」 「牛連れて峠越えゆく人ありて 帰りは一人秋のたそがれ」 「松の木の菰着せられて冬を待つ」 「打ち水に居場所無くした虫の声」 「春風に追われた夏の暑さ哉」 「名月を独り占めして露天風呂」 「城之崎の七湯巡り冬の月」 「暖冬の隅に隠れる炬燵哉」 「十五夜の団子に月ぞ招かれて」 「柿の実の鳥啄みて秋深し」 「柿の実の一つ残され茜雲」 「積雪の重みに喘ぐ南天に 鳥舞い来たり雪払いゆく」 「秋去りて松の木菰を着せられて 椿も真似て冬支度哉」 「追わぬのに夏未練なく飛んで行く 秋の気配の赤蜻蛉舞う」 「惜しめども春は瞬く去りて行く 夏我が物と日差し強かり」 「冬去れば春の足音高らかに 小鳥囀る蝶も飛び舞う」 「忍べども恋しかるらん君逝きて 春の名残の忘れ雪降る」 「悲しみも時が過ぐれば薄らぎて 生きる術をば神は与える」 「友なきは寂しきものと呟けば 容赦無くして秋は暮れ行く」 「人知れず路傍の石に等しける 名も無き吾を母は讃える」 「苦しきが預かり物の命なら 返す時迄労りて生く」 「夢破れ再び描く夢なれど 叶わざるとも大いなる夢」 「庭先に小鳥舞い降りしゃべり出す 一人住まいか越して間もなき」 「出ぬ月を待つ月見草鳥立ちて そっと教えて天空に舞う」 「蛍狩り闇夜の姿見えねども 声を頼りにあいさつ交す」 「咲こうとも散ろうともよし山桜 人目無きのも気楽なものよ」 「櫛持てば一筋の髪去りてゆく 別れ惜しめど風に吹かれて」 「我が命今年まではと願いつつ年明けたればまた今年まで」 「会う毎に年重ねゆく人ありて我が身も等し晩秋の鐘」 「今日あって明日なき命惜しまれて未練残れば夜の白みぬ」 「苦しみも悲しきことも時刻み彼方に消ゆる忘却の日々」 「森林の一夜の宿に別れ告げ一歩あゆめば蟬すすり鳴く」 「散る桜川面に咲いてあざやかに揺られながらも命永らう」 「久方に故郷の駅降り立てばお国訛りのなつかしき声」 「蝿タタキ手にする吾れに手をこすり命乞いする蝿哀れなり」 「雛鳥の待つ古巣に急ぐのにおいでおいでと芒が招く」 「故郷の芒が招く懐かしき微かに響く秋の晩鐘」 「ありがとうごめんなさいと家族にも言わぬ日はなき吾が生きざまよ」 「母の日は毎日であると吾思うありがたきかな子どもに感謝」 「美しき花よと褒めし人あれど沼に埋もれた蓮あればこそ」 「毒持つと囁かれしが彼岸花気にもとめずに色あざやかに」 「静かなる湖畔の辺り水鳥のひとりぼっちかと吾に問うらん」 「命ある今年迄はと願いつつ年明けたれど又今年迄」 facebookでシェア Twitterでシェア LINEでシェア