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金岡道子［俳人］

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岸壁に海鵜の並ぶ出初めかな

金岡道子の関連作品

積雪をはらえば素足大師像
天守閣越ゆるはなくて花の雲
鷹の目のはっしと睨む虚空かな
蒼天に黒点となり鷹渡る
泳ぐ鯉みなよく肥えて蓮は実に
我が庭をパラダイスとし鳥つるむ
貴賤なき大合唱やビヤーホール
青バナナ枝ごと買ひて旅終る
邦人の大パーティーや年明くる
埠頭染めコンテナ染めて冬夕焼
報恩講母の形見の数珠を手に
夫逝きし庭に蠟梅黄を点ず
句碑拝す伊和志津の杜神は留守
蔦紅葉無住寺の窓隠しをり
代官所跡は原つぱ零余子摘む
吾に似合ふ夫の遺品の夏帽子
種物屋鉢植ゑばかり売れてをり
号泣の声聴きたきや涅槃像
酒蔵は今集会所雛飾る
初雀枝に並びてよく喋る
大地震の報に明け暮れ三ヶ日
音と香に湧く詩心や蕗きざむ
流木に腰して一人春の浜
今年竹鞍馬の雨のはげしさよ
この時世明るき色に更衣
樹上より鴉見てをり虫供養
スカラ座にオペラ楽しむ夜長かな
積雪に靴を買ひ替ふ越の旅
艶めける女将のしぐさ炭をつぐ
変哲のなき棚田にも淑気満つ
本殿へ舞ひ来とんどの灰神楽
冬天に聳ゆ京大時計塔
シャガールの絵の彩窓に冬日燦
無月なる海の彼方はデンマーク
疾駆するアリゾナ砂漠星月夜
重文となりたる母校風薫る
ウクライナの戦禍を想ふ子供の日
古る雛にほどよき暗さこの座敷
散るほこり浴ぶるも功徳御身拭
難解なカフカと共に冬籠る
菊人形筆もて坐すも硯なく
パレードの行く御堂筋秋高し
全山へシュプレヒコール深山蝉
登頂のバッジ増えたる夏帽子
祇園会の喧騒他所に御所閑か
下萌や土の鼓動の聞こゆかに
有馬富士見え隠れする恵方かな
岸壁に海鵜の並ぶ出初かな
積雪をはらへば素足大師像
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